巷のブログ運営論でも、SNSのフォロワーを増やし更新を通知することによって再訪問を促すのが定番ノウハウとして語られています。
確かに更新頻度が高く人が主役になるパーソナルブログは、運営者自身のファンを獲得するのに有利であり「情報サイトはSEO重視」「ブログはSNSでリピーター重視」という定説は理にかなっているように見えます。
僕自身もそのように考えていました。
アンケートを取ってみた
2016年の秋にセミナーの講師を担当したとき、この説を裏付けようとアンケートを取ったことがあります。
厳密な条件付けはしなかったのでこのデータだけであれこれ議論するのは危険かもしれませんが、出てきた結果は中々興味深いものでした。
対象は各種SNSでつながりのある現役のサイト運営者の皆さん。サイトの運営歴や形態にはこだわらず、男女比もほぼ半々。
質問は単純に「あなたの運営サイトの再訪問率(リピート率)を教えてください」です。
再訪問率はGoogleアナリティクスでのリピーターの割合(セッションベース)を指定しました。
ブロガーを主役とした「雑記ブログ」、テーマを特化した「専門ブログ」、情報を主役にしブログの形態を取らない「専門サイト」の3つに分けて集計しました。
雑記ブログ
運営歴やアクセス数にはバラツキがありますが、中には何冊も書籍を出版されているような有名ブロガーさんやフォロワー数千人の人気ブロガーさんも含まれています。
しかしながら最も数値の高いブログでも38%、ボリュームゾーンは10〜20%という結果になりました。
正直もっと有名なブロガーさんばかり集めたら違った結果になったかもしれませんが、僕自身の雑記ブログ(a-ki blog )の数字を見ても13%程度ですから当たらずとも遠からずの結果ではないかと思います。
専門ブログ
有名なブロガーさんが運営するブログもありますが、ブロガーが主役というより情報が主役のブログが大半でした。
最高値が45%、ボリュームゾーンが20〜30%と雑記ブログの結果に比べ大きな差とは言えないまでも、全般に底上げされている印象です。
この結果を見ると同じブロガーの書いた記事でも内容に興味があるかないかで、読む読まないが決まっているのではないかと仮説が立ちます。
雑記ブログの場合「あのブロガーさんの旅行記事は好きだけどガジェットの話題は興味がない」などということはありますよね。
専門ブログでは少なくともサイトテーマが一貫しているので、テーマそのものに興味があれば「誰が書いているかに関わらず」記事に目を通す理由が生まれます。
雑記ブログより数値が高いのはその辺に原因があるのではないでしょうか?
専門サイト
こちらはブログ以外の形態で運営されているサイトを集めました。
更新頻度は月一回以下にも関わらず月間10万PVを超える人気サイトもいくつか含まれています。
一つ78%というわけの分からない数字がありますが、さすがにこれは特殊な事例です。
それにしても40%を超えるサイトが半数になるわけで、少なくとも「情報サイトはSEO重視」「ブログはSNSでリピーター重視」という定説には疑問が残ります。
なぜ専門サイトでリピート率が高くなるのか?
更新頻度が低くSNS対策が十分とは言えない専門サイトで、雑記ブログの最高値である40%を超えるものが多いというのはちょっと驚きです。
この理由を考えると
- ブラウザのブックマークからアクセスしている
- 特定ジャンルの複数のキーワードで上位表示されていて結果的に再訪問している
の2つのパターンが考えられます。
いずれも、運営者側からの働きかけでなく、ユーザー側が自主的に訪問しているということになります。
「能動的に情報を探しているユーザー」にアプローチすることには成功していると言えるでしょう。
「信用と単純接触効果」の関係を考えても、本来のリピート率向上策としては好ましい形のように思います。
「誰が書いたか」「何が書かれているか」
「何が書かれているかより誰が書いたかが大事」という言説に特に反論はありません。
「誰が書いたか」はコンテンツを信頼してもらうための大事な要素であると思います。
しかし、読むか読まないかは結局「何が書かれているか」で判断されています。
SNSで流れてきたいつもの人の興味のない話題より、積極的に情報を探しているときにたびたび出会うサイトの情報の方が信頼性も高くなるように思います。
集めたユーザーの属性とコンテンツがマッチしていることが何よりも大事なのです。
安定したサイト運営のためにユーザーの再訪問を真剣に考えるのであれば、実名顔出しでSNS等を使ったセルフブランディングもいいですが、まずはテーマを絞ること、雑記ブログであれば読者層をある程度特定するほうが近道ではないかと思います。(もちろん好きなことを書く目的のパーソナルブログであればその限りではありませんが)
そういった施策の上で運営者自身をブランディングするのであれば、信頼や安心感を高める効果もより一層期待できるでしょう。
一般人の雑記ブログで、何を書いても読んでくれて、すべてにイイね、すべてにコメントしてくれる人がいたら、むしろ「リピーターではなくストーカー」なのかもしれません。
それはそれで気を付けた方がいいかもしれません。